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百年泥   石井遊佳

2017年度 芥川賞W受賞のうちの1作。

日本人の女性が元夫から借りたお金の返済のために、
インドにわたり現地の企業で日本語教師として働きだす。
まもなく、彼女の住むインド南部の川が氾濫。
前回の反乱から百年。
その間にたまった泥とともに、その間にたまった人々の思いが流れ出す。

話の流れとしては、あまり面白かったとは言えなかった。
しかし、インドでの暮らし、彼女や彼女の生徒の生い立ちなどがどんどん気持ちの中に入ってきた。

インドは親の決めた人と結婚し、女性側が多額の持参金を渡すこと。
女子の誕生は喜ばれず、生まれるとすぐ捨てられることもあること。
結婚するまでの収入はすべて親に渡すため、早く卒業できるよう飛び級などすること。
などなど、知らないことばかり。

主人公の女性は子供のころ話さない子で、母親はさらに話さない人。
2人でいると会話は無いけれど、話すことを強制されることもなく心地よかった。
内職をする母の背中に黙って自分の背中を押し付け、背中同士押し付け合いっこする幸せ。
子供にとって全世界である母親。
その後、話すことを嫌う母は体調が悪くなっても医者と話すことを憂い、手遅れになり亡くなる。
しかしそんな時間を持てたことが、彼女のその後の人生の中でのあったかい思い出であり支えになったのでは?

私にもそんな思い出が。
時間を持て余したり、嫌なことがあると座っている母のひざの上に頭をのせ、寝っ転がる。
母の少し太った足はあたたかく、ふわふわして安心感を与えてくれた。
そんな幸せな時間が今の私を作っているのだろう。
子供たちにそんな時間を持たせてあげられただろうか。
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